〈爻辞〉
「遂ぐる攸なし。中饋に在り。貞吉」
〈読み方〉
とぐるところなし。ちゅうきに あり。ていきつ。
<爻辞の意味>
「進んでいって事を成し遂げるようなことはしない。家の台所で調理をする。正しいので吉」
「風火家人」の卦は「一家の人」について説かれた卦です。
そんな中この二爻は、妻の爻です。
妻というのは外へ行って事を成し遂げるようなことはせず、もっぱら家の中で調理をしているものです。
そのように正しい妻の役割に徹しているので吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
これが柔順中正、女の貞をもって家を保つ爻に当たっています。
離の中爻は牝牛を畜うような巽順をもって、黄離元吉を得るものでありますが、それを家人に当てて考えますと、家風に服し、夫に従って、自分というものを立て徹っそうとするようなことがない。
それが「遂ぐる攸なし」です。
そして家事を取り締まって欠けるところがない。
「饋」というのは厨房の仕事で、飲食をととのえ神に供し、人を養うことで、家の内のことなので中饋と言っているのです。
これこそ、家人の卦にあって貞吉を得る所以と言えるでしょう。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)