ふうらいえき3

独学者のための易経解説
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風雷益 三爻

ふうらいえき さんこう
まずは、やさしい解説から

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<爻辞>
「之を益するに凶事を用う。咎なし。孚ありて中行。公に告げて圭を用う」

<読み方>
これをえきするに きょうじを もちう。とがなし。まことありて ちゅうこう。
こうに つげて けいを もちう。

<爻辞の意味>
「この者を益するために苦難を用いる。咎められる過失はない。誠意があり中庸にかなった行いをする。
君公にものを申し上げるときは真実を告げる」

「風雷益」とは「物を増す。益すること」について説かれた卦(か)です。

そんな中この三爻には、凶事がもたらされると言っています。

しかし単なる凶事ではなく、乗り越えれば益を得られる「苦難」です。

この三爻には誠意があり、バランスの取れた行いもでき、君公にも真実を述べるので過失を免れると言っています。


「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。


加藤大岳述 風雷益 三爻

<説明の要点>

損の四爻は、損するのに疾いをもってしましたが、同じような意味合いで、この益の三爻は益するのに凶事を用いるのです。

凶というのは、地の欠けたところ(凵)に交々(メ)陥る象だと説いておりますが、この爻は互体の坤の真ん中に居て、変ずれば坎(陥る)として凶の象があるのです。

もともと三の位は危地である所に、この爻が内卦の震の極にあって妄動しやすいのです。

その危うさを改めさせるため、これに凶事の試練を与えるというわけです。

具体的に凶事をいうものを考えてみますと、不作や戦争がそれに当たります。

そういう艱難を経て、はじめてその固有の良さに復るということができ、そこで咎なきを得ます。

たとえば、衣類などが非常に華美に流れていたりしている時に戦争が起こると、贅沢な着物を作っても売ってなならないというような法律ができます。それは「益するに凶事を用う」ることになりますが、そのために衣類が衣類としての固有の形にかえり、かえってその虚飾の面から離脱することが出来ます。それが咎なきを得る所以です。

損の四爻が、その疾いを損して常態に復するのと対をなすものです。

さて、そのような凶事に遭って、三爻がはたして、その試練に耐え得るのかと言えば自分は陰柔不才なので、自力だけでは耐えきれず、他の救援(上爻)を乞うわけです。

陰で力が弱くとも、卦の中位にあり、しかも内を虚しくする益卦の孚があれば、公(五爻)に告げて、その誠信が通じると言うのです。

「圭」というのは玉の一つで、謁見に際して用いられ、孚信を表示するものです。

また、内外卦の中爻ではない三爻を中行というのは(坎の四爻も復の四爻もそうですが)大成卦を小成卦のように見る場合には、三と四は中爻となるので、中道を保つならばという戒めに「中行」と言っているわけです。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)


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