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<爻辞>
「翰音天に登る。貞なれば凶」
<読み方>
かんおん てんに のぼる。ていなれば きょう。
<爻辞の意味>
「鶏の声が天にのぼる。正しくても凶」
「風沢中孚」とは「真心が信頼関係を生む道」について説かれた卦(か)です。
そんな中この上爻では「鶏の鳴き声が空高く響いている」と言っています。
しかし鶏は、空高く飛べる鳥ではないため、いくら鳴き声が天に響いても、実際のところその体は地面から離れることはできません。
人に喩えれば、名声ばかりが高くても実質がそれに伴わないのと一緒です。
実質がないのに、かたくなに固執するなら凶だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
上爻は、卦の終わりにあって、しかも不中不正です。
中孚が極まって単なる空虚に変じ、その信を失い、実を失うところです。
翰音とは、ニワトリのことです。
またニワトリが羽ばたきするのを翰音と言います。
外卦巽の象です。
ニワトリは元来、空を飛ぶ鳥ではなく「場鳥(にわとり)」です。
それなのに、これは卦の上位にあり、また卦そのものも大卦離の飛鳥の象です。
ですから、自分が飛べないのも知らずに羽ばたきするが、徒にその羽音だけが高く聞こえても、その身を高く飛ばすことはできません。
人にすれば、中心に孚があるのではなく、内心の空虚なのを孚のあるかの如く粧っているようなものです。
そのような声だけの孚では、いつまでも粧い通すことはできません。
あえてそれに固執しようとすれば、その凶たるべきは言うまでもありません。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)