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<爻辞>
「旅、次につき、其の資を懐き、童僕の貞を得」
<読み方>
りょ、じに つき、その しを いだき、どうぼくの ていを う。
<爻辞の意味>
「旅先で、宿舎につき、旅費もあり、良い召使いもいる」
「火山旅」とは「旅をすること」について説かれた卦(か)です。
これは現代の「楽しい旅行」の類ではなく、昔の人が住居を失うなどによりやむを得ず流浪するような旅のことです。
安全は保障されず、寂しく、不便極まりない旅です。
そんな中この二爻は、正しく従順な徳を持っているため、旅先で最も重要である「泊まるところ」「お金」「身の回りの世話をしてくれる人」を得ることができたと言っています。
苦労や不便の多い旅の中にあることに違いはありませんが、そんな中、少しホッとできる状況を表しています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
旅においては陰爻を重んじますが、位に当たっている陰爻はこの二爻だけです。
しかも中を得ているので、旅の良い意味のすべてをこの爻の上にかけています。
旅にあって大事なものは、宿と旅費と召使いです。
その、ことごとくをこの爻に与えています。
それは先ほど述べた理由からですが、強いて象にその理由を求めることもできます。
これは艮の中爻ですので、宿を得ている象があります。
二三四の互体の巽で、利に敏く資材を抱いている象、また艮を童僕とすることもできます。
次というのは宿舎、資はお金です。
このように旅する者にとって大事なものを全て得ながら、しかし単に「貞」とだけ言っています。
旅の時に適うことのみを告げ、吉とは言わず消極的な安穏を語るに止まっています。
それは、旅そのものが大いに亨通を得る卦ではなく、乏しきに耐えてわずかに身を保つ事を念ずるものだからでしょう。
それは六爻中、ひとつも「吉」の字がないことによっても解ります。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)