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<爻辞>
「雉を射て一矢失う。終に以て誉命あり」
<読み方>
きじを いて いっし うしなう。ついに もって よめい あり。
<爻辞の意味>
「キジを射て矢を一本失う。最終的には任命され名誉を得る」
「火山旅」とは「旅をすること」について説かれた卦(か)です。
これは現代の「楽しい旅行」の類ではなく、昔の人が住居を失うなどによりやむを得ず流浪するような旅のことです。
安全は保障されず、寂しく、不便極まりない旅です。
そんな中この五爻は、旅先において、その国の君主に仕えたいと思ったが、初めはそれが叶いませんでした。
その失敗を「キジを獲ろうとして矢を放ったが、外してしまったため矢を失ってしまった」と喩えています。
しかしこの五爻は「文明の徳」「中庸の徳」を備えているため、最終的には官職に任命され、名誉を得ることになります。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
これも四爻と同様、位の当たらない爻ですが、陰でしかも中を得ているので、旅の時に適っており誉を得ます。
この卦を否の交易卦とすれば、この五爻は否の内卦の坤の一陰が、こちらへ来て離を成したわけです。
そのため否の外卦の乾の一陽を失って文明の徳のある離となったことを「雉を射て一矢失う」と言っています。
また、旅は剛を戒め、柔をもって従うことを尊ぶので、乾の武を去って離の文についたという意味もあります。
したがって、流浪の賢人を王が起用することに当てられており、「以て誉命あり」とは「譽を得て、命をかたじけなくする」という意味です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)