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<爻辞>
「飛龍天に在り。大人を見るに利ろし」
<読み方>
ひりゅう てんに あり。たいじんをみるに よろし。
<爻辞の意味>
「龍が天に昇った。賢人に意見を求め、賢人に恵みを施しなさい」
初爻から徐々に進んできた龍が、ついに天に昇りました。
全盛期の時です。
今が一番、強く立派な時であり、
そういう時こそ「どうすれば、この素晴らしい状態を保っていけるか」を考えなくてはなりません。
その答えは、周囲の意見に耳をかたむけること、周囲に恵みを施すことです。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「飛龍天に在り」というのは、乾を龍とし、この五爻の位置は「天の位」ですから、 このような爻辞となりました。
二爻では田に居た龍が、時を得て天に昇り、大いにその勢いを天下に示すところ に当たります。
この乾の卦の五爻は、剛健中正であり、爻の位も君主の位であり、陽位にいる陽爻 であるといったように、実に何から何まで兼ねそろった貫禄充分な爻なのです。
三爻や初爻が同じく陽位に居る陽爻でも、潜龍であったり、夕まで愓若だったりする のは、その位は正しくても卑しくて、中を得ていなかったためですが、この九五は中 を得ているだけでなく尊位に正しく居るのですから、ゆったりとして、慌てず遅れず、 堂々と進み行く。
それを飛龍が天にあって「雲行き 雨施して、品物形を流く」ということが行われ、 「各々性命を正しくし、大和を保合す」 るのであって、それによって「庶物に首出して、萬國咸く寧し」というようにさせるのです。
しかし、飛龍も天にあるまま保たれれば良いのですが、上爻へ進むと「亢龍悔い有り」 という爻になってしまいます。
ですから、現在の状態を保つにはどうすれば良いか……それには「大人を見るに利ろ し」となります。
これは、二爻にあったのと同じ意味ではありますが、この五爻の場合の大人は二爻 を指します。
その二爻の大人を用いてやるべし、と言うのです。
五爻の龍は、今や自由に天を駆けまわれるようになり、その恵みを万物に施せるよ うになったというのも、自身の力も大きいが、決してそれだけではなく大人(二爻)の 力を得られたからこそ、ということを忘れずに…。
君主たるものは大いに大人の意を聞き、そして大人に対して恵みを垂れよ、という ことです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)