らいざんしょうか5

独学者のための易経解説
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雷山小過 五爻

らいざんしょうか ごこう
まずは、やさしい解説から

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<爻辞>
「密雲雨ふらず。我が西郊よりす。公戈して彼の穴に在るを取る」

<読み方>
みつうん あめふらず。わが せいこうよりす。 こう いぐるみして かの あなに あるを とる。

<爻辞の意味>
「西の空から雲がいっぱいに広がってきたが雨は降らない。君主は穴の中の獲物を射る」

「雷山小過」とは「小さいものが過ぎる・少し過ぎる」ことについて説かれた卦(か)です。

そんな中この五爻は「空に雲がいっぱいでも雨が降らない」と言っています。

「空で、陰と陽が上手く調和すると、雲が雨となって地上を潤す」という昔の考えがもとになっているそうですが、
ここでは雨が降らないと言っています。

雷山小過は「小(陰)が多過ぎる」という卦ですから、陰陽が上手く調和しないのです。

この五爻は君主の位ですが「陰(小)」であり、能力が足りず万民を潤すことができません。

そのことを空模様に喩えているのです。

ですので、君主は穴の中の獲物(能力ある賢人のことです)を捕らえて、役立てようとするのです。


「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。


加藤大岳述 雷山小過 五爻

<説明の要点>

密雲雨ふらずというのは、風天小畜の卦辞にもありました。

小畜の時は、陰が陽を畜めて、陰陽相和さなかったために密雲をなしながらも雨が降らなかったのです。

ですがここでは、雷気が山上にあり、あまりにも高すぎる象と、陰が過ぎて陽との調和を欠くために、雨を降らせることが出来ないのです。

つまり五爻は君位に在りながら、陰柔であるために、その徳が膏沢となって民を潤すことができないのに喩えたのです。

それでその滞りを打開するために、応位にある恭謙の二爻を挙げ用いなくてはならないと言うのです。

雲は、高い五爻の位を意味し、穴というのは低い二爻を示します。

「戈」は「いぐるみ」と読みますが、糸を矢につないで飛鳥を射る方法を言い、引いては猟をすること、探し求める意味になります。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)


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