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<爻辞>
「父の蠱を裕かにす。往けば吝を見る」
<読み方>
ちちの こを ゆたかにす。いけば りんを みる。
<爻辞の意味>
「先代の残した腐敗を、さらに大きくしてしまう。恥ずべき事態を見る」
「山風蠱」の卦(か)は「腐敗を正す道」について説かれた卦です。
腐敗を一掃するための改革を行うためには、強さと能力が求められます。
しかしこの四爻は、能力が乏しいだけでなく強さもなく、控えめに過ぎる者なのです。
ですので先代の残していった腐敗を一掃するどころか、余計に大きくしてしまいます。
腐敗を正そうと、手を出しても力及ばず、かえって悪い事態に…、反対に控えめに過ぎて、腐敗を放っておいても、恥ずべき事態となってしまいます。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「裕」は沢山あるということです。
この爻は、陰位に陰でいて正を得てはいますが、因循であり「大川を渉る」ような大事業である蠱の修繕の任には耐えられない爻です。
父から遺された蠱を繕うどころか、その破れを増大させてしまう。
あたかも昔話の踊りの下手な第二の「コブ取り爺さん」のようなもので、せっかくコブをとってもらおうと出かけたのに、下手なため、もうひとつコブを付けられてしまうといったところです。
だから陰柔不才で、もとの状態より悪くしてしまうから、進むより退き守る方がより賢明です。
事を起こしても右顧左眄(うこさべん)するだけで、能率は上がらないし、引っかき回して、もつれが甚だしくなるだけなので駄目なのです。
それを「往けば吝を見る」と戒めています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)