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〈爻辞〉
「由りて頤う。厲うけれども吉。大川を渉るに利ろし」
〈読み方〉
よりて やしなう。あやうけれども きち。 たいせんを わたるに よろし。
<爻辞の意味>
「皆を養う。危ういが吉。大きなことを行ってよろしい」
「山雷頤」の卦(か)は「養いの道」について説かれた卦です。
そんな中この上爻は、高い地位につきながら才能もあり、万民を養う者です。
この任務は極めて重責なので危うさもありますが、その恩恵が広く行き渡るので吉だと言っています。
このような立場にあるものは力の限り天下に尽くし、養うべきなので、大きなことを行ってよろしいと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この上爻は、頤卦の成卦主爻ですから、天下の民は皆これに頼って養いの資を得ています。
それが「由りて頤う」です。
上爻は、位そのものが居り難い地位で、しかも多くの者に頼られるとするならば、一面どうにも危いところがあります。
勢いが一身に集まって、君をしのぐような嫌いも生ずるからです。
けれどもこの爻が「由りて頤う」のは自分のために図るところがあるのではありません。
言ってみれば頤は頤のためというよりも、体を養うために働いているようなもので、上爻にはそういう私心がありません。
ですから、たとえ天下の名声・人望が一身に集まって危いところがあっても、吉を得ることができるのです。
「厲うけれども吉」とあるのは、こうした理由によるものです。
そして、このように信頼を得ているならば「大川を渉る」ような難事を行ってもよく、達成することができるのです。
この爻が変ずると地雷復となります。
自らを減じて、また自らに復える。
私心なくして慶びあるというところです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)