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<爻辞>
「高宗鬼方を伐つ。三年にして之に克つ。小人は用うる勿れ」
<読み方>
こうそう きほうを うつ。さんねんにして これにかつ。しょうじんは もちうるなかれ。
<爻辞の意味>
「君主が北方の異民族を攻め滅ぼす。三年かけて克つ。凡人を用いてはならない」
「水火既済」とは「すでにととのう、すでに成就している場合」について説かれた卦(か)です。
そんな中この三爻では、すでに国内が安定しているところです。
すでにととのっているわけです。
しかしこの三爻はやり過ぎるきらいがあるため、国内が安定しているならば、外国に兵を出します。
そして三年もの長い時をかけて北方の異民族を滅ぼすわけですが、そんなことをすれば自国の兵は疲れ果て、財も乏しくなり、国が衰えます。
すでにととのっているような時は控え目にしているべきであり、もしこのように大きな事を行うならば、かえって疲れるだけだと教えています。
立派な人ならそれが解るが、凡人は波乱を好むので用いてはならないと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
高宗というのは、殷王の武丁の廟号だとされています。
この武丁の三十二年に鬼方を伐って、三十四年に勝ったと伝えられている史実が、この爻辞の内容です。
鬼方というのは色々な説がありますが、単に遠国と考えて良いでしょう。
この三爻は内卦の終わりにあって、既済の安泰の頂上にある時です。
同時に、離の極でもあって火の激しい性の現れるところです。
ですから安泰に泥んで、民心が倦怠に陥るのを鼓舞するために軍を起こして遠国の異民族を征伐するのです。
しかし三年もかかって、ようやく勝利を得たのでは、国力が疲弊しきって、かえって既済の乱れをきたします。
ですから、このような時に当たっては、特に小人を用いて国を乱すようなことがあってはならないと戒めています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)