てんらいむもう3

独学者のための易経解説
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天雷无妄 三爻

てんらいむもう さんこう
まずは、やさしい解説から

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〈爻辞〉 
「无妄の災い。或いは牛を繋ぐ。行人の得るは、邑人の災い」

〈読み方〉 
むもうの わざわい。あるいは うしを つなぐ。こうじんの うるは、ゆうじんの わざわい。

<爻辞の意味>
「思いもよらぬ災いにあう。繋いでいた牛が旅人に盗まれる。旅人の仕業なのに、村人が疑われて迷惑がかかる」

「天雷无妄」の卦(か)は「無私無欲・至誠真実」について説かれた卦です。

そんな中この三爻は、世の中には「无妄の災い」という類の災難があるのだという事を説いています。

「无妄の災い」とは、つまり「迷惑をかけるつもりなどまったくなかったのに、大迷惑になっている」類のことです。

迷惑をかけるほうに、なんら悪意はないのです。

この例で言えば、牛を盗んだ旅人は、まさか村人に嫌疑がかかるとは思っていません。

しかし実際には、村人は疑われ大迷惑を受けることになるのです。

世の中には、そうした類の災難というものがあることを言っています。



「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。

また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。





加藤大岳述 天雷无妄 三爻

<説明の要点>

三爻は陽位に陰でおり不正です。しかも不中の爻ですから、无妄の禍のほうを受けるところです。

この爻辞には、具体的なひとつの事件を取り上げて、この爻の性質を説いています。

ここで言う「災い」とは、自分で招いたり作り出したりする「わざわい」ではなく、とんだ災難のことです。

人と人との相対の場合でも、先方は迷惑をかけることを企んだり、予期していたりするわけではなく、全然知らないうちに迷惑になるようなことをしでかしている。

そして暴風とか洪水とか、干天とか、そういったものも天の方では何の気なしに起こしているのでしょうが、人間や動物の側からすれば災難です。

三爻の災難は、このような性質のもので、その例として「或いは牛を繋ぐ」という故事を引用して説明しています。

ある人が、道端の木に牛をつないで、どこかへ行っていた。

そこへ通りがかった人が、その牛を盗んで、連れて行ってしまった。

もとの持ち主は、この近所の村人のしわざだろうと疑いをかける。

盗まれた方も无妄の災いを受けたのだし、まったく関係ないのに疑いをかけられた村人たちも、无妄の災いを受けることとなる。

行人は何の苦労も計画もなく牛を得て、邑人は何の罪もないのに疑いを得て、これが无妄の災いなのです。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)



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