━ ━
━ ━
━ ━
━━━
━━━
━━━○
<爻辞>
「茅を抜くに茹たり。其の彙を以てす。征けば吉」
<読み方>
ちがやを ぬくに じょたり。その たぐいを もってす。ゆけば きち。
<爻辞の意味>
「茅(ちがや)という草を一本抜くと、何本も一緒に抜けてくる。そのようにして正しいことに進んでいけば吉」
茅(ちがや)という草は、根が地面の下で連なっているので、一本引き抜くと連なって何本も抜けてくるそうです。
それは身分の低い賢人が、一人、挙げ用いられると、同じような賢人も一緒に登用されることの喩えです。
「地天泰(ちてんたい)」の卦(か)は、天下泰平について説いた卦ですが、この賢い初爻が上から登用されるに伴って、他の身分の低い賢人も一緒に引き上げられ、世の乱れを正していくならば天下泰平に向かうことができる、と言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
「茹たり」とは、互いに連なっているという意味で、ここでは茅を抜く時いくつもの多くの根で、株と株とがくっついていることを言っています。
茅の一本の茎をつかんで引っ張ると、根がたくさん付いてくる。
彙というのは同類という意味です。
「茅」とするのも、泰の外卦坤をその葉と見て、内卦乾を固い根と見るからですが、これはちょっと事実ではなく、当時、耕地開墾などのために、茅を抜くような作業があちこちでの大仕事だったのではないかと想像されます。
それは泰平の世の第一着手事でもあります。
この初爻は、内卦の三陽爻のひとつなので、この爻だけ抜き取ろうとしても連なって同類の二爻、三爻も抜けてくることを表現したものです。
「往けば」というのは、ここでは攻めるというのではなく、四爻である大臣のところに応じ進むことです。
君側にある大臣に用いられ、己の知能を世の役に立てようとするので進んで吉なのです。
初爻は最下位にあるので、茅の茂っているような郊外、しかも乾の一陽なので、野に居る賢人と言えるでしょう。
君子の道が長じ、有能な人物がうもれることなく君側の四爻に進んで応じ、吉を得ると言うことです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)