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<爻辞>
「帝乙妹を歸がしむ。以て祉あり元吉」
<読み方>
ていおつ まいを とつがしむ。もって さいわいあり げんきつ。
<爻辞の意味>
「君子が、自分の妹を信頼する臣下に嫁がせる。そのようであれば大きな福を得られる」
「地天泰(ちてんたい)」の卦(か)は、天下泰平について説いた卦ですが、そんな中この五爻は「君主の位」ですので、泰平の世を維持させるための君主の在り方について説いています。
この君主は臣下を厚く信頼し、臣下からの指導に良く耳を傾けます。
さらに君主は自分の妹を、その臣下に嫁がせます。
こうした君主の姿勢、信頼関係が、泰平の世を維持させるのです。
このようであれば、大きな福を得られるとしています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この爻は「泰中の否」と言うよりも、人の世の状態(ありすがた)を主とし乙(いつ)という帝のある出来事をもって説いています。
乙というのは殷の紂王の父で、その王が自分の妹を有能な家来に嫁がせて泰平の世を長く続けようと計った。
(別の見方からすると、泰の世なればこそ、そのような慶事が行われる)
この五爻は陰で、尊位であり二爻に応じている。
それで、四爻が応位の初爻を挙げ用いたように、五爻も二爻を取り立てて用いるのです。
「歸妹(きまい)」というのは、六十四卦の中に、こういう卦名のものがありますが「いも・とつぐ」ということです。
五爻は尊位にある陰爻ですから、この泰の世を維持していくためには泰の成卦主爻であり力強い二爻を挙げ用いる。
二爻の忠誠に報いるために妹を与える。
そうして「以て祉あり元吉」を得るのです。
なぜ、妹を嫁にやるなどという辞がかけられているのかと言えば、この卦には互卦に雷沢帰妹(三~五爻が雷、二~四が沢)があるからです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)