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<爻辞>
「鼎耳革まる。其の行塞がる。雉の膏食らわれず。方に雨ふれば悔いを虧く。終に吉」
<読み方>
てい みみ あらたまる。そのこう ふさがる。きじの あぶら くらわれず。まさに あめふれば くいを かく。ついに きつ。
<爻辞の意味>
「鼎(かなえ)の取っ手が変形してしまう。持って行くことが出来ない。脂ののったキジの肉を食べさせることができない。
雨が降れば悔いはなくなる。最終的には吉」
「火風鼎」とは「養い」について説かれた卦(か)です。
「養いの卦」と言えば「水風井」も同じでしたが、水風井は「水」をもって養い、 こちらの火風鼎は「火」をもって(食べ物を作り)養うという卦です。
そんな中この三爻では「鼎の(かなえ)の取っ手が変形してしまった」と言っています。
(「鼎」とは、三本脚の付いた器のことで、鍋のように煮炊きできます)
なぜ変形してしまったのかと言えば、料理する際の火加減が強すぎ、取っ手が曲がってしまったのです。
そのため、せっかく中に美味しいキジの肉料理ができているというのに、持って行って食べさせることができません。
雨が降って、鼎がほどほどに冷えてくれば、最終的には食べさせることができて吉だと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
これも陽爻で、鼎に実ある象であり、しかも三陽の真ん中にあって、一番美味しいところに当たります。
それを雉の膏に喩えたほどです。
この爻変は、三陽が離となって、離を雉とし、また内変卦の坎を膏とするところから雉の美味しい膏と表現したようです。
しかし鼎の三爻は、未だ変じているわけではありません。
陽位に陽でおり、しかも巽の極にあって外卦の離火と接しているのですから、これは火の最も激しいところと見られます。
そのため鼎の中味が沸騰しすぎて耳の形まで革まり、これに鉉をかけて火の中から引き出して、中の物を食べることができません。
それが「鼎耳革まる。其の行塞がる」です。
行塞がるというのは、ここでは食べられるはずの物が食べられないということを言っています。
これを上手く処置するにはどうすれば良いかと言えば、勢いを弱めて鼎を冷ますより仕方ありません。
三爻の陽剛を陰柔に変じ、内卦の坎をもって鼎を冷ませば、そこで離雉坎膏は自ずと目の前にあるでしょう。
それを「方に雨ふれば悔いを虧く。終に吉」と言ったのですが、悔いとは調味を食うことができないという悔いです。
そのように、鼎の耳が革まるのは、鼎の宜しさを失ってしまうのだとしています。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)