らいふうこう ほんか
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━━━主爻
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<卦辞>
「恒は亨る。咎なし。貞に利ろし。往く攸あるに利ろし」
<読み方>
こうは とおる。とがなし。ていによろし。いくところあるに よろし。
<説明の要点>
「恒」という卦名は、「つねある」ことであり、久しきにわたり変わらないということです。
この卦になぜ、そのような意味を見るかというと、それを理解するためには一つ前の沢山咸と照らし合わせる必要があります。
男女があって初めて人間社会というものが成り立つのですが、小男・少女はその交わりを結ぶ初めなので、艮下兌上に咸を見ました。
一方こちらの恒は、震の長男と巽の長女との卦なので、すでに夫婦として家を保っている意に取り、夫婦の道は久しくなくてはならないと、この卦に恒の意義を見るのです。
男女交感の卦の次に、夫婦恒の卦を配したという見方が出来ます。
それから、咸では男より女に下る婚媾の序をなしていたのに、この卦では男卦の震を上にして、女卦の巽を下にしています。
それは男を尊び高め、女を卑しめ低くして、一家に則あるのが、すなわち恒常を保つ道であるということです。
恒は、ひとつのことを守って久しく変えないわけですから、必ず亨るところがあります。
久しく守ったのに、もし亨らないというのなら、それは正しくない事柄だからで、それならば、そこに咎が生ずべきであります。
恒にしてよく亨るものは、必ず正しい……従って咎を生ずるわけがありません。
そして、このような恒の道は、それにより家を保つばかりでなく、やがて子孫が生まれ、子孫がまたそれに習っていくように、やむことく継ぐべきものであるとしているのが「往く攸あるに利ろし」です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)