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<爻辞>
「臀、株木に困しむ。幽谷に入る。三歳観ず」
<読み方>
いさらい、しゅぼくに くるしむ。ゆうこくに はいる。さんさいみず。
<爻辞の意味>
「尻が切り株に苦しむ。薄暗い谷間に入る。三年経っても会うことができない」
「沢水困」とは「行きづまって苦しみ悩む」ことについて説かれた卦(か)です。
そんな中この初爻は、ボコボコした切り株に腰掛け、お尻が痛くて落ち着くこともできないまま困窮し、気力を失っています。
薄暗い谷間へ奥深く迷い込み、三年経っても自分が会いたいと思っている人に会うことができないと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
困の時にあって、その亨るところを失わないのは、大人君子であって爻で言えば剛中なるものが、それに当たります。
しかし、初爻は剛でも中でもないので、困しみつつ「貞」を貫くことができず、みだりに動いて窮地に迷い入ってしまうのです。
その安居できないことを「臀、株木に困しむ」と形容し、動いてさまよう様子を「幽谷に入る」としています。
ついに窮地を脱することができないのを「三歳観ず」と言ったのです。
外柔中剛の坎を芯の堅い木とも見ることが出来ますが、卦は沢水困で水の潤いのない卦ですから、その木はもう枯れてしまっています。
そして初爻は、根元にあたりますので「株木」…切り株に喩えています。
陰柔なこの爻は、あたかも切り株に座ってお尻が痛むように、安居することができないのです。
そのように安居することができずに迷い入る場所ですが、坎を暗いとし穴とし、隠伏とし、水とするので、その下爻である初爻を「幽谷に入る」と言っています。
また、この坎は離を伏しているところから「幽にして明らかならず」と言い「観ず」と言っています。
「三歳」とは、「何時までも」という程度に取って良いでしょう。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)