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<爻辞>
「劓り刖る。赤紱に困しむ。乃ち徐くにして説び有り。用て祭祀するに利ろし」
<読み方>
はなきり あしきる。せきふつに くるしむ。すなわち ようやくにして よろこび あり。もって さいしするに よろし。
<爻辞の意味>
「鼻を切る刑、足を切る刑。賢人に苦しむ。ようやく悦びがある。神をお祀りするのが良い」
「沢水困」とは「行きづまって苦しみ悩む」ことについて説かれた卦(か)です。
そんな中この五爻は、国の行きづまりを打開しようとする君主です。
君主はまず、悪い臣下や役に立たない者たちを排除します。
そのことの喩えが「鼻を切る刑、足を切る刑」です。
そして真に賢い者を登用しようとしますが、それを阻む力があり上手くいきません。
それが「赤紱に困しむ」です。
しかし時間はかかっても後には賢人を登用することができます。
そうした徳を用いて神をお祀りするのが良いと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
この五爻は、困の主卦の主爻です。
また剛をもって「困は亨る」亨通をもたらすものです。
どうやって困を救うかと言えば、消極的には困の原因を除去し、積極的には展開策をめぐらすわけです。
その原因を除去するのが「劓り刖る」の刑で、陰邪(初爻、三爻)の鼻を削ぎ、足を斬るのです。
けれども小人を刑したというだけでは「未だ志を得ざるなり」なので、今度は進んで賢臣を挙げ用いようとします。
しかし、それが見当たりません。
「赤紱に困しむ」とあるのが、そのことです。
「朱紱」が天子の服飾であったのに対し「赤紱」は諸侯の服飾です。
三・四・五の互体の巽を股とし、二・三・四の離を朱とし赤とし、二爻から五爻にかけて朱・赤紱(膝あて)の象があるのですが、応位の二爻は同じく陽剛で、すぐには応じない困しみがあります。
けれども二爻も剛中なので、正しさに当面して身命を致すような一筋な心があるので、おもむろにではあっても招かれて、志を合わせ、困を救う悦びをもたらします。
二爻にも「用て享祀するに利ろし」とありましたが、君臣一体の和合とは、臣のほうだけで誠敬を致すのではなく、君もまた至誠をもって接待するのであって、そこで天から幸せが与えられるというのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)