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〈爻辞〉
「穫るに耕さず。畭るに葘せず。則ち往く攸あるに利ろし」
〈読み方〉
かるに たがやさず。こなたつくるに あらきばりせず。すなわち いくところ あるに よろし。
<爻辞の意味>
「収穫を期待して田を耕すのではない。利益を生む田を作ろうと思い開墾するのではない。このようにして、ひたすら自分の務めに励むなら、進んでいって事を成すことができる」
「天雷无妄」の卦(か)は「無私無欲・至誠真実」について説かれた卦です。
そんな中この二爻は、後日の報酬を期待する気持ちを持たず、ただその事をすることが自分の務めだとし、ひたすら目の前のことに励みます。
そのようであれば、進んでいって良いと言っています。
「占った事柄」と「上記の説明」を、スライドガラスを2枚重ね合わせるようにして解釈してみて下さい。
また、下記の
「加藤大岳述 易学大講座」の要約も、ぜひ併せてお読みになり理解を深めましょう。
<説明の要点>
二爻も、無思・無為で、无妄の福のほうの意を持つ爻です。
この爻辞は、農事によって説かれており、「穫」は「収穫」のことで、「葘(あらきばり)」とは、草ぼうぼうの所を切り開く、開いたばかりの新田です。
「畭(こなた)」は既に一度、収穫したことのある田です。
次の年に使う、または一年置いてから三年目に使う田で、古ノ田(このた)です。
「穫るに耕さず」は、施せばその陽報があると承知して耕作するのではなく、田を開き稲を作るのは、そうしなくてはならないからするのであって、農夫の天職として行うのです。
ですから「畭するに葘せず(よするに、しせず)」で、来年になれば立派に役立つとか儲かるなどといった先の望みを抱いてするのではないですし、開墾するわけでもありません。
したがって、これも初爻と同様に无妄の誠にのっとっているので「往く攸あるに利ろし」となります。
富むことを目的とせず、自然の性向に従うだけですから、富む必要もないですし、また富むこともでき得ないのです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)