てんたくり ほんか
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━ ━主爻
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<卦辞>
「虎の尾を履む。人を咥わず。亨る」
<読み方>
とらのおをふむ。ひとをくらわず。とおる。
<説明の要点>
この卦は、内卦が兌で少女。外卦は乾で老父とします。
内卦は少女ですから弱々しくて、おとなしい。外卦は強く健やかで、たくましい。
強くて速い者が歩いて行く後を、力の弱い者がついて履んでゆく。
乾は天で上にあり、その在るべき所に在る。
兌は沢で、低いことが、その恒常の位置である。
居るべきところに正しく居て、取るべきところを正しく取る。
君は君のように、臣は臣のように、上下尊卑の分をわきまえて正しくする。
それが礼儀というものです。
礼儀は、人が必ずわきまえて履み行わなくてはならない。
この卦にかけられた名前の「履」というのは、「ふみ行う」という意であり、また人の履み行うべきものは礼とするので、礼儀の卦とします。
この卦は乾(健やかな足を持った人)が先に行き、その後を兌(弱い人)がついて行くのだから並みの辛さではない。
逆であれば行くのは容易いが、この卦はそうではありません。
ですから、行き難い象と見ます。
「言うは易く、行うは難し」が礼であるという意味にも取れます。
強い人と一緒に行こうとするのは大変な努力をしなくてはならない。
その苦労を具体的な事柄に当てはめますと、「虎の尾を履む」ような難しさ、危うさであります。
そういった難しいことに臨んでも、常に和やかで温かい使命に殉ずるという悦こびの心(兌)をもって励んでいったなら、高い地位にある者(乾)も、決して危害を加えてくることはない。
これが「虎の尾を履む。人を咥わず。亨る」です。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)