風沢中孚(ふうたくちゅうふ)本卦

独学者のための易経解説
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風沢中孚 本卦

ふうたくちゅうふ ほんか



風沢中孚 本卦の解説

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━  ━主爻
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〈卦辞〉 
「中孚は、豚魚にして吉。大川を渉るに利ろし。貞に利ろし」

〈読み方〉
ちゅうふは、とんぎょにして きち。たいせんを わたるによろし。ていに よろし。



〈説明の要点〉

風沢中孚というこの卦には、信(まこと)という意があります。

なぜかと言えば、三・四爻の中爻に陰があって、中虚であるという象だからです。

これに私心のない「まこと」の意味を見るのであって「中孚」という卦名も、そこから来ています。

そして更には、二・五の小成卦の中爻が剛をもって位し、その無私と誠実との爻象により、この卦に中孚の意義があるのです。

また、内外卦の卦徳を推せば、互いに相孚するときは、われ悦び(兌)、彼従う(巽)というように和するものであり、それを天下に及ぼしたなら一国の風俗さえも感化させることができると、その偉大さを讃えています。

そのように孚の大きな力に先ず、一言していますが、それとは反対に人には気づかれないような自然のまことを引き合いに出しています。

それが卦辞の「豚魚」の吉です。

豚魚というのは支那の江豚、我が国の「イルカ」のことです。

豚魚は風に対して非常に敏感だと言い伝えられ、北から風があれば豚魚の口は北に向かい、西から吹けば西に向かうとされ、舟人はその豚魚を見て風の有る無し、方向を知ることが出来るというのです。

それは、まことに内卦兌の口が外卦巽に向かって開く卦象そのままです。

このように疑うことなく、相感じ、相応じる孚があって、吉を得ると言うのです。

そして、このような孚をもってするのであれば、大川を歩いて渡るような大事を敢行しても、必ず功を奏することができるのです。

この卦の画象が中虚であるのは、木をえぐって作った船の形があり、そこからも「大川を渉るに利ろし」い意味が出てきます。

しかしまた、孚というのは正しい道によって致すべきもので、「貞に利ろし」と特に教えています。

そして、誠は天の性であるので、人がその孚を貞正にするのは、天に応じる所以であると説かれています。

加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)



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