からいぜいごう ほんか
━━━
━ ━
━━━主爻
━ ━
━ ━
━━━
〈卦辞〉
「噬嗑は亨る。獄を用うるに利ろし」
〈読み方〉
ぜいごうは とおる。ごくをもちうるに よろし。
〈説明の要点〉
「噬嗑(ぜいごう)」の「噬」は噛むことを意味します。
噛むと言っても、力強く動いて噛むことを指し、内卦震の性能にあたります。
次に「噬嗑」の嗑」は、「合う」と同じです。
口をとると「蓋」という字になりますが、鍋の蓋などのように、その器に具合よく合わせます。
噬のほうが積極的・能動的であったのに対し、嗑のほうは付和随行的な働きで、外卦の離(つく)のほうに当たります。
内卦震の噬と、外卦離の嗑とを一緒にしたのが、こ噬嗑?で、噛み合わせると言う意味になります。
これは「山雷頤」という卦…「頤」(アゴのこと)の中に、異物(四爻)が挟まっているのを噛み砕いて上頤と下頤を噛み合わせるという象意を推してです。
ですから「噬嗑は亨る」とありますが、口の中に異物を挟んだまま亨るのではなく、これを噛み砕いて亨るのです。
この意味から言えば、頤中に物のあるのが噬嗑と言うわけではなく、その異物を噛み砕いて上頤と下頤が噛み合うようにする、その努力のこと、その作用のことを噬嗑とするわけです。
噛み砕いて亨る道を開かずに、ただ頤中に物があるだけの状態はいわば天地否で上下の頤がふさがって通じないのです。
「獄を用うるに利ろし」というのは、その異物(邪魔モノや悪者など)を取り除くのに刑罰を用いるほか仕方がないということです。
(加藤大岳述 易学大講座 現代語要訳)